アレルギーの原因となる害虫について

お薬よもやま話

チリダニ

コンクリートづくりのマンションなど、木造家屋からの住いの変化はダニが繁殖するのに都合のよい環境となっています。ダニは床やカーペット、ふとん、畳、ほこりや食べこぼし、垢やふけなど、室内塵（ハウスダスト、以下ホコリ）を住家にして、ウジャウジャと生息しています。ただ見えないだけなのです。

ダニの繁殖と最近のアレルギー性疾患の患者さんの増加は関係があると言われています。しかし、実際には人に害を与えるダニはほんの数種類なのです。ダニの十分な知識さえあれば，特段恐れる必要はありません。

完全にダニを除くことは出来ませんがダニを減らすための対策は大切です。

室内のダニの種類はおよそ40種類。そのうち7～９割はヒョウヒダニ（チリダニの仲間）です。

	ヒョウヒダニ 0.3～0.4mm	室内塵中、最も多い。アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性疾患の主な原因とされています。人のフケや垢、食物の食べこぼしなどが好物です。
	ケナガコナダニ 0.3～0.4mm	米麦・豆類・チーズ・粉ミルクなどの食品や家具に大量発生する。家畜飼料・畳やワラ積にも発生。皮膚を刺したり、血を吸ったりしないが不快感を与えます。ワラや、乾燥食品などが好物です。
	ツメダニ 0.3～0.8mm	食品・屋内の塵・畳・家畜小屋・倉庫などに発生し、人の皮膚を刺し、かゆみを起こすダニ。他のダニをえさにして大量発生します。

ダニは昆虫ではありません。クモの仲間です！: ●幼ダニの足は6本。脱皮をしているうちに8本足になります。; ●頭部・胸部・腹部の区別や触角がなく、目もないクモも多い。

ダニが好きな環境では: ●３ヶ月の寿命の間に１００個の卵を産み、そのうち半分はメス; ●卵は２週間で成虫になり卵を産みます。

アレルギーを起こす原因は様々ですが、ダニアレルギーは喘息や鼻炎の５～８割、子供の喘息では６～９割が原因と考えられています。ダニはホコリ中のアレルゲン（アレルギーの原因物質）として重要視されているのです。また、乳幼児期には食べ物が原因として関係することが多いとされるアトピー性皮膚炎も、成長するにしたがって食べ物よりも、ダニなどのホコリが重要な原因となる割合が多くなって、症状を悪化させる基になっていると考えられています。そのため、ダニが原因の喘息や鼻炎、アトピ－性皮膚炎を起こしている場合には患者さんの周りからダニアレルゲン（ダニの成虫やその糞、抜け殻、死骸などのホコリ）を減らす対策が最優先されます。